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世界で最も有名な絵画の一つ、パリのルーヴル美術館に所蔵されている《モナ・リザ》。
その作者、レオナルド・ダ・ヴィンチが人生最後の3年間を過ごしたのが、フランスのロワール地方にあるクロ・リュセ城(Château du Clos Lucé)です。
赤レンガと白い石灰岩が美しいこの小さなお城は、かつてフランス国王の居館として使用され、1516年からはレオナルド・ダ・ヴィンチの住まいとなりました。
現在は、彼が暮らした部屋やアトリエが再現され、広い庭園では、レオナルドが考案したさまざまな発明品の模型を見たり、実際に動かしたりすることもできます。
画家であり、建築家、技術者、科学者でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチ。その多彩な才能と創造の世界を体感できるクロ・リュセ城をご紹介します!
目次
- クロ・リュセ城ってどんなお城?
- クロ・リュセ城の歴史
- ここは見逃せない!クロ・リュセ城の見どころ
- レオナルド・ダ・ヴィンチの発明を体験する庭園
- 《モナ・リザ》もここにあった?
- クロ・リュセ城へのアクセス
1:クロ・リュセ城ってどんなお城?
クロ・リュセ城は、ロワール地方のアンボワーズにある、15世紀に建てられたお城です。
アンボワーズ城から歩いてわずか数分の場所にありますが、王宮のような壮麗さとは異なり、どこか温かみを感じさせる小さなお城です。
現在の建物の基礎となったのは、1471年に建てられたレンガ造りの館。1490年にはフランス国王シャルル8世が購入し、王家の別邸となりました。
そして、1516年。フランス王フランソワ1世に招かれたレオナルド・ダ・ヴィンチが、イタリアからこの場所へやって来ます。その時、3点の絵画や、数多くの素描、研究ノートも携えていました。
当時すでに64歳だったレオナルドは、その後1519年に亡くなるまで、クロ・リュセで暮らしました。
現在のお城では、当時の生活空間を再現した展示に加え、レオナルドの芸術や科学、建築への探究心を紹介する展示が充実しています。
単に歴史ある建物を見学するだけではなく、一人の芸術家が何を考え、どのような仕事をしていたのかを知ることのできる場所です。

写真:Draupnir3 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
2:クロ・リュセ城の歴史
クロ・リュセ城とフランス王家との関わりが深まったのは、15世紀末のこと。
1490年、シャルル8世がこの館を購入し、王家の居館として利用するようになりました。
後にフランス王となるフランソワ1世も、この地で幼少期を過ごしています。
フランソワ1世はイタリア・ルネサンスの芸術や文化に強い関心を持ち、多くの芸術家を保護したことで知られています。
その一人がレオナルド・ダ・ヴィンチでした。
1516年、レオナルドはフランソワ1世の招待を受け、弟子のフランチェスコ・メルツィらとともにアルプスを越えてフランスへやって来ます。
国王から「王の第一画家・技師・建築家」という称号を与えられ、年金を受けながら、クロ・リュセで制作や研究を続けました。
この時期のレオナルドは絵画だけではなく、建築計画、水に関する研究、宮廷の祝祭の演出など、幅広い仕事に携わっています。
1519年5月2日、レオナルドはクロ・リュセ城で67年の生涯を閉じました。
その後、城は所有者を変えながら受け継がれ、19世紀半ばにはサン=ブリ家の所有となります。
20世紀には修復が進められ、現在はレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯と業績を伝える文化施設として公開されています。

3:ここは見逃せない!クロ・リュセ城の見どころ
レオナルド・ダ・ヴィンチの寝室(Chambre de Léonard de Vinci)
レオナルドが晩年を過ごし、息を引き取った場所です。
室内には当時の雰囲気を伝える家具や調度品が配置され、16世紀の生活空間が再現されています。
窓の向こうにはアンボワーズ城を望むことができます。
国王フランソワ1世とレオナルド・ダ・ヴィンチ。それぞれの住まいがこんなにも近くにあったことを実感できる場所でもあります。
レオナルドのアトリエ(Atelier de Léonard de Vinci)
画家としてのレオナルドの姿に触れることができるのが、アトリエです。
ここでは、ルネサンス時代の工房を再現した空間に、絵画制作の道具やスケッチなどが展示されています。
レオナルドは、人間の身体の構造、光と影、遠近法、自然の動きなどを観察し、それらを絵画表現に結びつけようとしました。
美しい絵画の背後には、長年にわたる観察と研究があったことがわかります。
礼拝堂(Oratoire)
城内には、シャルル8世が王妃アンヌ・ド・ブルターニュのために設けた小さな礼拝堂があります。
ゴシック様式の繊細な装飾が美しく、壁にはレオナルドの工房の弟子たちによるとされる《受胎告知》のフレスコ画が残されています。
華やかな王宮とは異なる、静かな祈りの空間です。
レオナルドの発明品の模型
城内には、レオナルドが残した素描をもとに再現された機械模型も展示されています。
飛行装置、軍事技術、水力を利用した機械など、彼の関心が絵画だけにとどまらなかったことがわかります。
レオナルドの時代には実現しなかった構想もあり、当時の技術や知識の中で、どれほど先進的な発想を持っていたのかを知ることができます。

写真:Léonard de Serre / Le Clos Lucé / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
「レオナルド・ダ・ヴィンチの寝室」 写真は当時の部屋を復元したものであり、家具がすべてレオナルドの生前から残っているわけではありません。
4:レオナルド・ダ・ヴィンチの発明を体験する庭園
レオナルド・ダ・ヴィンチ公園(Parc Leonardo da Vinci)
クロ・リュセ城を訪れたら、ぜひ時間をかけて歩いてほしいのが、緑豊かな庭園「レオナルド・ダ・ヴィンチ公園(Parc Leonardo da Vinci)」です。
木々に囲まれた広い敷地には、レオナルドの図面をもとに制作された実物大の機械模型が約20点設置されています。
例えば、空を飛ぶために考案した「空気ねじ」と呼ばれる装置や、水を汲み上げるための仕組み、さまざまな構造の橋など。
見るだけでなく、実際に一部の装置を動かして、その仕組みを理解することができます。
また、庭園にはレオナルドの絵画や自然観察から着想を得た景観も整備されています。
彼が生涯にわたって関心を寄せていた自然と技術の関係を、散策しながら感じることができる空間です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画と建築のギャラリー
庭園の奥にある展示施設「Galeries Léonard de Vinci peintre et architecte」も見逃せません。
絵画を紹介するエリアでは、壁や天井に映し出される映像によって、レオナルドの作品世界を体感できます。
一方、建築のエリアでは、都市計画や建築構想について、模型や映像を通して学ぶことができます。
特に興味深いのが、レオナルドが構想した「ロモランタンの理想都市」。
都市全体をどのように設計するかという壮大な計画からも、彼の関心が芸術、科学、技術の境界を越えていたことがわかります。

写真:Léonard de Serre / Le château du Clos Lucé / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
「レオナルド・ダ・ヴィンチ公園(Parc Leonardo da Vinci)」内にある「レオナルドの庭園(Le Jardin de Léonard)」
5:《モナ・リザ》もここにあった?
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、やはり《モナ・リザ》を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は、レオナルドがイタリアからフランスへ移り住んだとき、ラバに乗って《モナ・リザ》も一緒にアルプスを越えたと伝えられています。
ほかにも《聖アンナと聖母子》《洗礼者聖ヨハネ》など、現在ルーヴル美術館が所蔵する作品が、かつてクロ・リュセにあったのです。
1517年には、レオナルドを訪問したアラゴン枢機卿に同行した人物が、これらの絵画について記録を残しています。
現在はパリのルーヴル美術館に展示されている作品が、500年以上前には、このアンボワーズの小さな館にあったと思うと不思議な気持ちになります。
また、クロ・リュセ城には、アンボワーズ城へ続いていたと伝えられる地下通路の入口があります。
フランソワ1世は、父のように慕っていたレオナルドに会うために、この地下通路を通って訪れていたという伝説も残されています。ただし、実際に国王が利用していたかどうかは確認されていません。
国王と芸術家の関係に思いを巡らせながら、クロ・リュセを訪ねてみるのも面白いでしょう。
アンボワーズを訪れた際には、ぜひ二つのお城を一緒に見学してみてください。
王家の歴史を伝えるアンボワーズ城と、レオナルドが暮らしたクロ・リュセ城。
フランス・ルネサンスの時代を、異なる視点から楽しむことができます。
アンボワーズ城については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

6:クロ・リュセ城へのアクセス
クロ・リュセ城はアンボワーズの中心部から徒歩で行くことができ、トゥールからの日帰り観光にもおすすめです。
トゥールからアンボワーズまで
・鉄道:TERで約20〜30分。トゥール駅からアンボワーズ駅まで直通列車。
パリ・オステルリッツ駅からアンボワーズまで
・鉄道:直通列車で約1時間45分〜2時間。時間帯によっては乗り換えが必要。
パリ・モンパルナス駅からアンボワーズまで
・鉄道:TGVでサン=ピエール=デ=コール駅へ。そこからアンボワーズ方面のTERに乗り換え。
アンボワーズ駅からクロ・リュセ城まで
・徒歩:約20分。アンボワーズ城からクロ・リュセ城までは約400メートルなので、二つのお城を歩いて巡ることができます。
クロ・リュセ城の見学には、庭園やギャラリーも含めて2〜3時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
開館時間や入場料金は変更されることがあるため、訪問前に公式サイトで確認してください。
Château du Clos Lucé – Parc Leonardo da Vinci
2 rue du Clos Lucé
37400 Amboise, France
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